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NHK大河ドラマ 風林火山〈1〉風の巻2007.08.31 Friday
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今年の大河ドラマでお正月から始まった『風林火山』も、いよいよこれから川中島の合戦へと突入します。
この書籍は、テレビで放映されているドラマのノベライズ版で、脚本家の大森 寿美男氏がかいているため原作になった井上靖の小説とことなり、評判となったオリジナル部分も含まれています。
現在3巻まで発売されているこのシリーズは、サブタイトルが「風林火山」に合わせ、「火の巻」までですが、文字どおり合戦が激しくなっていく展開です。
2巻の終わりに登場した「越後の竜」こと、長尾景虎が国内を統一して、武田軍によって信濃から追われた村上氏らの豪族に助力し、ついに川中島で武田晴信と戦うにいたる経過も楽しみ。
出演者の演技はもちろんですが、脚本の魅力も大きい『風林火山』の世界を、活字で追うのも面白いものです。
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信越紀行その3 「川中島に霧はなし」2007.08.30 Thursday
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上越市から長野駅前のホテルに戻り、疲れて早めに寝入ってしまった私たちでしたが、翌朝起きてみると、前日以上によく晴れていました。
これはあまり避暑にならないのでは…と危惧しながら朝食とチェックアウトをすませ、本日の予定にしていた川中島古戦場に向かうべく、駅のバスターミナルに。
着いてそうそう、ターミナルのバス名を見て一驚。
夫「…これ、『川中島バス』っていうんだ。ずばり直球勝負のネーミングだね」
妻「何だか乗ったら合戦のロケとかに連れていかれそう」
などと、お馬鹿な会話をしながら乗り込みました。
念のためながら、この路線バスは善光寺や松代などいろんな方面へ運行されていて、べつに川中島のみに向かうわけではありません。
そして40分あまりで、「古戦場入り口」に到着。
ここは当時、八幡原と呼ばれた武田軍が本陣をかまえたあたりです。見回してみると、けっこう広い。バスの車窓から見てきた風景と合わせて考えても、自分の地元に近い関ヶ原のほうが、東西20万ちかい軍勢が合戦したとは信じられない情景に感じます。
土産物店などを見ながら、私立博物館に入り「川中島の戦い2007」という特別展を見学。いくつかのエリアにわかれたここは、地形や時間を追い、参加した甲越両軍の武将たちの軌跡にのっとりシミュレーションしてあって、なかなか多角的に楽しめました。
面白かったのは、大河ドラマの展示もあって、信玄と謙信について市川亀次郎とGacktがおのおの両武将のカリスマ性や人物像を語るビデオ。
また、撮影に使われた衣装や小道具、とりわけ鉄砲や槍はさわってみるのも貴重な経験でした。
こうした体験と、ボランティアの語り部の方に聞いた興味深い歴史伝承などを楽しんだ後、ふたたびバスに乗り、今度は善光寺へ。
さすがに大きな古刹。ここの門前町を歩くと、江戸期の旅人になったような気分です。
改装中の本堂で御参りをすませ、いろんな土産物を見たりするうち、お腹がへって近くの古風なレストランへ。
大正モダンな雰囲気のその店は、蕎麦も地元野菜のサラダも鴨肉も味わえる、けっこうなところでした。
その後歩いたあとも、やはりレトロな喫茶店でアイスコーヒーを楽しんだりできて、まずは満足。
列車時刻もせまり、お土産のほかに地元の蓼科ビールやアルペンチーズ、そして極め付けに「川中島の力水」というミネラルウォーターを買い込んで特急「しなの」に乗り込み、思い出の地を後にしたのでした。
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信越紀行その2 「Gackt謙信、見参!」2007.08.29 Wednesday
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白馬に跨って登場したGackt謙信は、紫裾濃の鎧に紫紺の布を袈裟懸けにした、あの景虎として大河に初登場したときの姿でした。
馬上ゆっくりと右手を上げながら輪乗りしつつ、周囲にスピーカーから流れる口上とともにポーズを決めます。(まさか鎧にマイクをつけることは出来ないので、あらかじめ幾つかの口上を自身で録音してあったようです)
「地震の災いに見舞われし上越の地に、上杉謙信まかりこした。皆の者、勇気をだして立ち上がるのじゃ!」「これより他国を侵す武田晴信を討伐にまいる。いざ、出陣じゃ!」
必ずしも正確ではないかもしれませんが、このような口上とともにGackt謙信が合図の手を振ると、周囲の武者はもちろん、盛り上がった観衆から「おぉーっ!!」と唱和の歓声があがりました。もちろん「ガクトー!」と叫ぶ女性ファンも多かったのですが、ふと気づくと、そばから「景虎さまーっ!」と熱狂の叫び。まぎれもなく、かみさんの声であります(笑)。
夫「冷静なはずじゃなかったっけ?」
妻「いや、叫ばずにはいられないよ。ま、他人のフリしていいから(笑)」
そんな会話のあとデジカメの画像をチェックしたら、これが逆光とカメラの不調(?)とでさっぱり。あわてて携帯をかまえたものの、しょせんこちらも逆光と動く被写体では大したショットも撮れません。
そうしているうちにこの交差点でのパフォーマンスは終わり、謙信と武者たちは次なるパフォーマンス地点に移動を始めました。…こうなったら映像記録より自分の眼で記憶にとどめ、何らかのものを残そうと考えた私は、謙信に続く上杉軍、さらに後列の武田軍の将兵や旗指物などをじっくり観察することに。
Gackt謙信は、3箇所の地点でパフォーマンスを行ない、その後は午後6時30分から春日山史跡広場で開催される川中島合戦の再現でも姿をみせると、パンフの情報にあります。かみさんは何とかもう一度あの勇姿を見たい、声を聞きたいと別の地点に移動するというので、自分はすこし春日山方面に歩いてみることにしました。
大通りから坂道をゆっくり散策して、春日山神社付近から城跡を遠望したり、若き景虎が
修行したという林泉寺を見たりしながら、夜の会場である広場に向かいます。
そうこうするうちに日も暮れて、大回りしてたどり着いた春日山史跡広場は、もうかなりの観衆で埋まっていました。
とはいえ、後方の場所にはまだ空きもあるので、前方にいるかみさんと携帯メールで連絡をとりながら、テープで仕切られた通路のそばで開幕を待ちます。このときは山形(江戸期の上杉家の領地)から来援の米沢藩鉄砲隊の方たちが、火縄銃の実演を行なっていました。その轟音は、まさに腹に響くといった感じで、数丁でこれだから何十、何百丁が発射される合戦の場では、さぞ凄まじいはず。「天地も裂ける」とか小説にある表現も、あながち大げさとは言えないなぁ、などと実感。
それにしても、暑い中での甲冑武者の皆さんは大変だったでしょう。また、警備や交通スタッフなどの方も、例年にない規模になったイベントの運営も。多くの方のボランティア精神や努力でのこのお祭りの成功だと感じます。皆さん、お疲れさまでした。
さて、関係者スピーチなどのあと、武者たちが続々入場。時間よりやや遅れて再現合戦のはじまりです。ついにGackt謙信がふたたび登場!
なんと今度のいでたちは、青の鎧直垂に銀の南蛮甲冑という、大河ドラマの川中島合戦で着用すると上越タイムスにかかれていた姿です。
いわばテレビよりひと足早く、この会場の観衆は謙信(合戦のときは政虎でしょうが)の勇姿を見れたわけで、大河ファンとしてはうれしさひとしお。ただし、後方なので小さく見えたのは仕方ないことですが。
今回も前記のような口上を聞かせながら、甲冑姿で白馬を走らせるパフォーマンス。ほんとうにサービス満点です。この話を最初に知ったときは、正直どの程度Gacktは参加するんだろうと思いました。ファンのかみさんは、「いったん受けた以上は、いい加減なスピーチだけとかで済ますアーティストじゃないよ」と申しておりました。そういうファンから少しは人となりなど聞かされているので(笑)、疑ってはいませんでしたが、まさかこれほど謙信になりきって上越市の祭りに貢献するとは驚きでした。
彼が『風林火山』に謙信役で出演するのを承諾したときも、「出る以上は、自分にしか出来ない謙信像をつくりあげる」といったことを本やテレビでのインタビューで言っていたのは知っていました。また、義の武将といわれる謙信の生き方に共感し、そういう古き日本にあった美徳をファンにも見てもらいたいと話していたことも。
もし今回の出演が先にかいたスピーチだけとか、短時間の馬上行進をするだけとかだったら、謙信の姿勢とはちがう(?)といった声も聞かれたかもしれません。
しかし、長野への列車時刻が迫り、なごり惜しい気持ちで駅方面に歩き出した私たちに周囲から聞こえてきた多くの人たちの会話は、おおむね以下のようでした。
「すごいね。ガクト、あんなに演じてくれるとは思わなかった」
「かっこ良かった。でも、見た目もいいけど気持ちも真剣な人なんだ」
Gackt謙信は、間違いなく上杉謙信が治めた春日山の地に住む人々の心をとらえたようです。その勇姿、ちゃんとした映像が撮れていたらこのブログに発表するのですが、上記のようなお粗末で何とも残念…。
でも、ネットで調べるとすでに多くの方が画像や動画をアップしてみえるようなので、いまさら小さくて写りの悪い携帯ショットを出すより、このお祭りの印象を下手ながら自分なりにイラスト化してみたいと思います。
余談ですが、私は前回の大河ドラマ『功名が辻』も見ていて、昨年秋ごろ山内家ゆかりの長浜城や掛川城を探訪し、自分のHP上につたない絵ですがアップしました。
「MGライフ」と申します。最近このブログばっかりで更新もしない塩漬け・氷づけサイトですが、よければ一度ご覧くださればさいわいです。
さて、上越市から長野に戻り、翌日たずねた川中島古戦場などの道中記は明日にでもかきたいと思います。本日は、これにて…。
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信越紀行その1 「いざ、上越市へ」2007.08.28 Tuesday
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遅ればせながら、先週の土日に旅してきました長野県と新潟県の思い出などかいてみたいと思います。大河ファンの私とGacktファンのかみさんによる「風林火山」紀行…いや、珍道中日記ですが、よろしくお付き合いくださいませ。
25日土曜の午前10時、特急「しなの」で名古屋駅を旅立った我々はウキウキでした。
第82回謙信公祭りや大河『風林火山』ゆかりの史跡をめぐる旅にでた嬉しさも当然ありましたが、なによりここしばらく岐阜・名古屋は連日の猛暑。信濃路に、長野県にいけば避暑ができると考えていたのです。
木曽福島や松本を経て、「しなの」は長野駅に1時まえ到着。さっそく駅前のホテルにチェックインして荷物を下ろすと、その足で駅にとってかえし、信越本線で上越市春日山をめざします。途中でスイッチバックしたり、冬はスキーなどでにぎわうだろうけど今はやや寂しい感じがした妙高高原駅を過ぎたりしながら午後3時に春日山駅に着きました。
駅は想像していたより小さなところでしたが、手前の高田駅から多くの人が乗り込み、ここで降りていきます。やはり「謙信公祭り」の見物客でしょう。あちこちで「今年は人出がすごいね!」「ガクトって本当に来るの?」などという会話が聞こえてきます。
帰りの混雑を予想して、念のため長野へのキップを買ったあと歩いて会場付近へ。
薄紫地に白で謙信のシルエットを染めた旗が沿道に並び、駅前で配られたGackt景虎のアップと武者行列の写真が表紙の謙信公祭りパンフレットを手に歩くと、中心部の大通りはもう凄い人だかり。お祭りの気分が盛り上がっています。
思ったより暑い日差しのなか、私たちは何処で見物すれば良いか考えながらウロウロしていましたが、行列の通るコースに書店を見つけ、暑さをさけて待つ気で入りました。そこでは今回の祭りにあわせ「風林火山」&Gackt本コーナーが(笑)。さらに再来年の大河ドラマ原作本、やはり上杉家の名臣・直江兼続が主人公の『天地人』も平積みになっていました。店員さんが「ただいま当コーナーの書籍やグッズを購入された方に上越タイムスの謙信公祭り特集号をお付けしております」と、繰り返す声。さっそくかみさんが未購入だったというGackt本を買って特集新聞もゲットしました。
これは後で入手してよかったと思えるものでした。
さて、午後4時もまわり、私たちも陣取った大通りの「春日山城入口」交差点に、城址方面から地元小学校のブラスバンドを先頭にした行列がやってきます。
そしていよいよ武者行列が。上杉軍団出陣とあって、新発田治長、柿崎景家など越後勢武将の旗指物を背負った鎧武者たちに沿道の観衆から拍手が、引率されて行進しながら遅れて走る子もいるちびっ子武者たちに笑いと声援がかけられました。
後列には、薙刀をかまえた凛々しい女武者のひとたちも。列中央に「松江」の旗があるので、上杉軍の豪傑・鬼小島弥太郎の夫人と伝えられる女性ではと思います。
さらに武者行列には、甲冑も旗も赤備えの軍勢が。思わず「武田軍だ」と声が出ました。
間違いはなく、馬場信春、高坂弾正、内藤昌豊などの武将名を旗指物にした朱色の武者が行進してきます。先頭には、今回の大河で旧領復帰を果たした真田幸隆の名も。(こちらにも女武者が何人もいて、中央に「八重」の旗がありました)
沿道の観衆からは、上杉軍とほぼ変わらぬ拍手や声援がとび、何だかうれしくなりました。もちろん武田武者に扮しているのも地元の方々でしょうし、観衆には地元民だけでなく私たちのような他県の観光客なども多いでしょうが、さすが「敵に塩を送った」逸話の地、いわば(再現合戦の)敵役にも惜しみないエールを送る人々の姿勢は、とても気持ちのよいものでした。
デジカメや携帯をかまえる周囲の群衆に負けじと、我々も手にかまえ直したとき、通りの向こうから突然歓声が聞こえ始めました。じっくり見て記録にも記憶にも残そうと話しあっていた大河とGacktのファン夫婦は、うなずいて待つばかり。
夫「さすがに感激するだろうけど、エキサイトして撮りのがしたりしないようにね」
妻「ファンだけど、わたしはいつも冷静だよ。そちらこそ確実に撮って」
などと言っていたら、もう近くまで歓声の渦が…。
そして、ついに目の前にテレビで見たあの長尾景虎が、颯爽と白馬に乗って登場!
この旅行記、明日に続きます。
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風林火山「真田の本懐」2007.08.27 Monday
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サブタイトルからもわかるように、今週の『風林火山』は、真田幸隆とその一族が主役でした。
しかし、まずは「しぶとく」(小山田談)生きて越後から帰還した勘助を、晴信と家臣たちが迎えるシーンからはじまり、「長尾景虎とはどのような人物か」と晴信から諮問されて、勘助は「あれは武将にあらず。坊主でござる」と答えます。さらには「正義の実現のために戦をします」とも。
ポカンとしてあきれる家臣団の反応が可笑しかったですが、晴信自身と文官の駒井だけは何事かを感じ取ったようでした。
「坊主」という分析は、前回で景虎とかわした神仏や人間についての問答を回想しながらの意見でしょうが、つまりは「実業家でなく哲学者、経済人でなく思想家です」といったイメージを伝えたかったのでしょうか。
晴信は、ずばり「勝てるか」と問い重ねます。
これにかなりの自信で「勝てまする。その強さも弱さも見極めもうした」と答えた勘助ですが、しかし前途には難戦の川中島が待ち受けています。過信といっては言いすぎかな?
さて、ひさしぶりに訪ねた真田家で「砥石崩れ」の責任に悩む幸隆にたいし、勘助は「ここは敵に調略を」と一見平凡な意見を述べて、幸隆と忍芽、さらに相木にも失望されてしまいました。
しかしそこは軍師・勘助、海野一族の再興など、地縁や血縁の求心力を活用するなどの細かい配慮をともなう方策と、上州から信濃まで見渡した戦略眼で、成功への道筋をつけます。
これを実行する幸隆、夫を案じるあまり長子とともに敵城に乗り込んで命がけの説得をこころみる忍芽、ついに我を折り誘降に応じる幸隆の実弟など、一気にたたみ込む群像ドラマを経て、ついに難攻不落とも思われた砥石城は陥落。長い辛苦のすえ、真田の郷は幸隆のもとに戻り、感激の結末となりました。
(晴信から恩賞を申し渡されるシーンで、勘助が駒井に頭を下げていたのは、この決定に駒井の進言があったということでしょうか)
夫を想い危険な行動をとった妻の忍芽をしかりながらも抱きしめ、「そなたがいなくば生きてはゆけぬ」と心情を告げる幸隆。ここへ事情を知らずやってきた勘助を無言で制し、幸隆の言葉に「わしは妻に、あんなことはよう言わん」とつぶやく相木市兵衛が、今回はいちばん良い味を出していました。
あたかも感動の名文を最後にしめる句読点のよう。
砥石城陥落の報は各地を駆けめぐり、撤退する村上義清に見放されて「わしは民や百姓を苦しめる領主であったのか?」と、いまになり気づく小笠原長時は、当然のむくいながらいささか哀れでした。(俳優さんがうまいせいかも)
しかし、わたしが本当に気の毒に感じるのは、長野業政です。
今回も真田に協力するため関東を去る河原隆正を、気持ちよく送り出してくれたらしいことがセリフでわかりました。幸隆のときといい、実に誠心のある名将だし、傾くいっぽうの関東管領に孤忠をつくす姿勢が見事なだけに何とも…。番組ラストの「風林火山紀行」では業政が城主だった箕輪城址も出ましたが、なにか物悲しい情景でした。
さて、面白いのは越後の主従。
「道安を放したとたんに砥石が落ちたようだな」などと余裕の笑みをかわす景虎と宇佐美は、しだいに甲斐の強敵になりそうな雰囲気をグレードアップしてきました。
(山本勘助と呼ばず「道安」と言うところに、前回での対決からくるライバル的感情がうかがえて印象的です)
この大いに盛り上がってきた戦国ドラマが、来週は少しお休み(?)らしいムードの予告が、いささか残念。はやく第1回の川中島が見たいです。
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信濃から越後へ2007.08.26 Sunday
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やっと先ほど旅行から戻り、『風林火山』をBSで見ました。
いやはや強行軍でした。
でも、大河ファンの私とGacktファンのかみさんにしてみれば、残暑のなか越後路まで出かけたかいはあり、上越市での「上杉謙信公祭り」に特別出演したGackt景虎の姿をこの目で見ることができました。
そんなわけで、今週の『風林火山』の感想は明晩にでもアップしたいと思います。
ほんとうは幸隆サクセスストーリー「真田の本懐」の感想、はやくかきたいのですが、さすがに土曜が上越市、本日日曜が長野で川中島という旅程は疲れました。
たんにもうトシなだけですが(笑)。
この旅行記の顛末も、できれば今週中にブログ記事にしたいです。そのときはまた、どうぞヨロシク…。
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パリは燃えているか?(下) (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)2007.08.25 Saturday
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連合軍接近の情報にパリ市内ではレジスタンス各派の一斉蜂起が始まり、ドイツ占領軍との市街戦は激しくなるいっぽうでした。
コルティッツ将軍は、ときに戦い、ときに一時停戦しながら、ヒトラー総司令部から催促されるパリ破壊命令の引き伸ばしをはかります。
少しでも時間を稼いでドイツ軍の撤退をすすめ、連合軍がパリに突入したら不可抗力としてこの都を無事に明け渡すつもりの将軍は、恐ろしい綱渡りをつづけました。
しかしパリ駐在のノルウェー領事や、ドイツ情報部員などの協力者もあり、かろうじてこの秘図は成功していきます。
そして1944年8月25日、すなわち63年前の今日パリは解放されました。
両軍の兵士やレジスタンス、市民に少なくない犠牲は出ましたが、かけがえない芸術の都は大破壊からまぬがれたのです。
コルティッツは自由フランス軍の先遣隊に部下とともに降伏し、主を失った司令部の電話からヒトラーの声がむなしく響きました。
「パリは燃えているか!?」と。
このドキュメントは、両陣営から多くの人々の熱意により、奇跡的に戦禍から救われた大都市の様相をくわしく伝えています。
さらに本書は、フランス人はもちろん、敵国の軍人であり(東部戦線などでは)容赦なく破壊命令も実行したコルティッツのような人物さえも惨禍を防ぐ意思を持って行動した史実を描き、人間性というものを信じさせてくれる物語になっているといえるでしょう。
この上下巻はしばらく絶版になっていましたが、早川書房から復刊されたのは、本当にうれしいことです。同じ内容の文庫版も復活しています。評価:
ラリー・コリンズ&ドミニク・ラピエール著
早川書房
¥ 2,415
(2005-03-29)
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パリは燃えているか?(上) (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)2007.08.24 Friday
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第2次世界大戦も終盤となった1944年。6月にノルマンディーへ上陸した米英連合軍は、北フランスの平野を快進撃していました。
そしてフランスの首都であり、「芸術の都」と呼ばれるパリの解放は目前に迫ったと思われたのですが……。
このドキュメントは、パリをめぐる連合軍、ドイツ占領軍、そして対独レジスタンスから一般市民までのさまざまな人々を巻き込んで進行する、まさに一大叙事詩です。
なかでも、読み進むほどに私が注目していったのは、この世紀の攻防が始まる直前、ヒトラーから直々にパリ占領司令官に任命されたディートリッヒ・フォン・コルティッツ将軍でした。
生粋のドイツ軍人で、セヴァストポリ攻略戦の殊勲者でもあるこの頑固そうな人物は、しかし内心では激しく悩んでいたのです。
任命にあたって会見したヒトラーは、かつて彼が前線訪問で見た「気迫あふれる指導者」ではなく、狂気を目に宿した老人になっていました。戦争指導の激務と、なにより7月20日に起きた暗殺未遂爆弾事件で負傷したヒトラーは、以前よりさらに過酷な命令を出すようになっていたのです。
その命令とは、パリの絶対死守と、どうしてもそれが不可能ならばパリ全体を破壊して焦土にすること…!
これを実行すれば、自分は永遠に「美の都の破壊者」として名が刻まれる。なによりそんな命令を実行してもドイツの勝利には寄与せず、かえって激しい憎悪と報復を招くはず。
しかし命令を守らねば、自分はもちろん、故郷の家族も連座して処罰されるのでは…。
コルティッツが悩む一方で、連合軍総司令官アイゼンハワーも頭をかかえていました。
パリに突入すれば困難な市街戦に巻き込まれたうえ、大きな破壊をもたらすかもしれない。また、パリ解放後には膨大な人口を抱えて、連合軍の進撃に必要な燃料や食料をパリ市民に供与せざるをえず、せっかくドイツ国境へひた走っている各軍にブレーキがかかってしまう…。
さらにフランス自体が一枚岩にはほど遠く、連合軍に属しドゴール将軍指揮下の自由フランス軍、レジスタンスの各派閥、占領下ビシー政権などが、それぞれの思惑で動きだしています。
上巻は、この三つ巴ともいうべきパリの政治・軍事地図を描き、ヒトラーの破壊命令を準備にかかるドイツ軍と、ついにパリ進撃に決する連合軍の姿を活写して、空前の危機をはらむ時間との競争を細やかな筆致で語ります。評価:
ラリー・コリンズ&ドミニク・ラピエール著
早川書房
¥ 2,415
(2005-03-29)
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『銀魂』 芙蓉編2007.08.23 Thursday
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先週に続き、万事屋トリオが難儀な首だけアンドロイドを拾ったために巻き込まれた騒動が加速する、『銀魂』芙蓉編の第2回。
前回でメイドロボットの大群に包囲され危機連発となった万事屋の三人。
今週は、冒頭からノンストップアクションで見せてくれる…と、思ったら、「卵ちゃん」こと首だけの芙蓉零号をかかえた新八が敵に捕われてしまいました。
何とか平賀源外の店にたどりついた銀さんと神楽だったけど、新八はおらず、源外の店先に転がっていた芙蓉の記憶装置を解析したことで、驚くべき事件の真相を知ってしまい……。
芙蓉の製作者である林教授が「人間」として思考する機械を作ろうとしていたのは、よくある話だけど、源外のライバルだったらしい教授の最後の作品と、その同型機らしい青年機械人形の支配するロボット軍団と、なりゆき上やっぱり戦うはめに。
それにしても、白昼堂々のバトルといい、江戸の各スクリーンをとおしての宣戦布告といい、こんな露骨なテロを実行する集団が暴れているのに、またも真選組の対応は遅いのでは…。あの「紅桜」編でも、江戸湾で攘夷志士同士が軍船まで使ってバトルしているのに全然出動してこなかったし。
と、思ったら土方と沖田がおでんの屋台でガンモの取り合いを。やっぱりだめだこの特別警察(笑)。エリートの名に値しません。
ところで源外の声優は青野武さんだけど、こういうマッド・サイエンティストを演じさせたら本当にハマる役者さんですね。
かつて見たOVA『究極超人あ〜る』では、あ〜るの製作者の成原博士をやっていたし、かの『宇宙戦艦ヤマト』では一見かっこいい技術士官の真田役だったけど、あの人物も妙な発明品が多く、やっぱりマッドだったような……。
それと機械人間の集団を支配する伍丸弐号の声が、これまたクールで決まっていると思ったら、神谷浩史さん。「絶望先生」じゃないですか!
問題教師の糸色先生もいいけど、さすがにダークな敵役もお見事。
こういう点からも、来週の第3回が期待度アップしました。
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武田信玄 (1)2007.08.22 Wednesday
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こちらの勘助は、前作の二枚目とはうって変わり、容貌はさえない男にかかれています。
ただし、重要な活躍をする点は同じ。とりわけ情報戦に手腕を発揮し、やはりというか越後にも潜入したりします。
もちろん第4次川中島合戦がハイライトですが、それにいたる攻防や謀略戦も丁寧に描かれており、劇画タッチにくらべ物足りない向きもあるでしょうが、絵物語として楽しみつつ、各武将の区別も文字だけよりは理解しやすい面もあるでしょう。
前線の激闘だけでなく、地理・天候の情報収集や碁石金の運用など経済戦略もあり、甲越両軍の対決が俯瞰の視点でみられます。
このテーマではいろんな作家がかいているので、比較するのも面白いでしょうし、これから大河ドラマ『風林火山』で描かれる川中島はもちろん、今川家の崩壊をもたらす桶狭間合戦も独自の展開で進められていて、こちらも興味を覚えます。
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