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大英帝国衰亡史 PHP文庫
評価:
中西 輝政
PHP研究所
¥ 680
(2004-04-01)
映画「クィーン」は現在の女王エリザベス2世の物語ですが、いわゆる大英帝国が興隆を始めるエリザベス1世の時代から説き起こして、ビクトリア朝で迎えた絶頂期とそれからゆっくり下降する運命を、政治・外交戦略面から面白くかつ詳しく記した本書は何度も読み返しました。

イギリスの基本政策が「欧州大陸に覇権国家ができるのを阻止する」ことにあるのは、歴史書や政治史ものでよく言われることですが、そのさらに要点は低地諸国すなわちオランダとベルギーが独立をたもち、大陸で勢いを持つ特定の国の占領下にならないよう政治と外交、ときには軍事力にうったえてもそれを阻む方針となります。

エリザベス1世の英国が迎えた最初の国難というべきスペイン無敵艦隊の来襲、絶対王政時代の強敵ルイ14世のフランスとの争闘、ナポレオンの脅威からビスマルクとの駆け引きまで、次第に上り詰めていくイギリスの国運と、それを支え発展させた多くの政治家・外交官・陸海の軍人とその供給源になった貴族層の精神や哲学も合わせて紹介していて、
イギリス中心でなあるけど読み応えのある近現代ヨーロッパ史でもあります。

最後に二つの世界大戦とその引き起こした世界の変化により、ついに大英帝国もチャーチルらの奮闘もむなしく、ローマ帝国以来の歴史の法則を変えることはかなわず、しかし決して単に滅んでいくのでなくゆっくりと歴史的役割を終えていく最終章は、もちろん覇権主義などを評価するものではありませんが、ある種の感動も覚えました。
posted by: ふるゆき | | 20:30 | comments(0) | trackbacks(1) |
仁義なき英国タブロイド伝説
英国王室ホームページの求人広告「バッキンガム宮殿の召使い見習い募集」に、一人の青年が応募してきました。簡単な身元確認のうえ採用されたこの青年は仕事熱心でよく気がつき、同僚や上司それに王室関係者の受けもよく、先輩たちから王室の知られていない慣習からマル秘エピソードまで教わるほど信頼されました。しかしこの青年の正体は、何と……!
という衝撃の実話から始まる本書は、昨年読んでいたのですが映画「クィーン」を見る前後に再読して、あらためて唸りました。

よく知られているように、現代でも厳然とした階級社会であるイギリスでは、いろんな立場や階層にアピールする新聞紙があり、そのなかでもタブロイド紙と呼ばれるものは、「世紀のスクープ」と「大誤報」が常に当然のように表裏一体となって載っているという、日本の新聞紙では考えられない世界です。

「クィーン」で描かれたダイアナ妃の事件や生前のスキャンダル、「ベッカム様」に関するゴシップなどで騒がれるのはもちろん、一方では政府批判や社会問題の提示に強力な発言を示し……。
有名なザ・サンが英国万歳記事なら、宿敵デイリー・ミラーは政府や軍の過ちを暴き、これに他の各紙も参戦して骨肉の争いやら大論戦やら凄まじいかぎり。
たとえ誤報とわかって糾弾されても「ごめんなさい。でも本音では面白かったでしょ?」と開き直るのがタブロイド魂というから、「英国は紳士の国」なんて一般論(?)はさっぱり通用しません。

私がもっとも興味深かったのは、やはりまた歴史面で、二つの世界大戦からフォークランド紛争、最近のイラク戦争まで、さまざまな驚くべきエピソードも紹介されています。
また「奇人変人大集合 タブロイド小史」とある章では、メディア王をめざす怪物たちの足どりはもちろん、大戦前ファシズムに走った経営者までいた事実を知り呆然としました。

映画「クィーン」でも登場したブレア首相のメディア担当で、スピン・ドクター(情報操作の専門家)として恐れられた辣腕家、アレスター・キャンベルの複雑な経歴など、小説そこのけだと感じてしまいます。
事実は小説よりナントカと言いますが、この本にかかれたタブロイドの「伝説」を知ったら英国と英国人に対するイメージの修正をせまられるかたも多いのではないでしょうか。

でも事実は小説より…などというなら、この本の著者がNHKのロンドン特派員だったこと、そして本人が自認する「タブロイド中毒症状」になって、驚くほどに面白おかしい名文でこの一冊をかきあげたコトもそうなのかもしれません。
posted by: ふるゆき | | 21:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
英国王室と英国人
評価:
荒井 利明
平凡社
¥ 693
(2000-09)
著者は1997年にダイアナ元妃の事故があったとき、読売新聞社の特派員としてロンドンにあり、その後の葬儀や一連の混乱を現地で取材・目撃したひとです。

下記の映画「クィーン」のパンフレットにも当時をふりかえった文章を寄稿されていて、映画館で作品解説とともに読んだとき名前に覚えがあるような…と思って帰宅後に本棚を調べたら2002年に買っていたものが出てきました。

本書はその「ダイアナ事件」を2章にわたって記述してありますが、まずはウィリアム1世によるブリテン島征服から英国王室の歴史が書いてあり、97年夏の騒動だけでなく英国史では多くの王室を巻き込む波乱があったことを再認識させられます。
(余談ですが映画でフィリップ殿下を演じた俳優がジェームズ・クロムウェルという凄い名前でいかにも英国顔だったのですが、イギリス人でなくハリウッド・スターでした)

映画でも描かれたとおり次第に「開かれた王室」になっていくものの、それは伝統的権威である英国王室にとって「両刃の剣」でもあり、最近になってスコットランドの独立気運とか「ブレア・ショック」にユーロ導入などEU問題がクローズアップされてきた件とか、今後の事態にどう対処していくかも予想、考察してあります。

やはり個人的に面白かったのは、ビクトリア朝の様相や二つの世界大戦と王室の変化といった有名な歴史の裏面でした。
映画「クィーン」では、新首相となって会見というか謁見に訪れたブレアにエリザベス女王が「新たな首相を迎えるのはあなたで10人目です。最初にそこに座ったのはウィンストン・チャーチル(第2次大戦後に再選されたときのことでしょうね)……当時の私は、まだ少女でした」などと笑顔で語るシーンがありました。

さすがに女王陛下、長い年月からくる貫禄が違います。
posted by: ふるゆき | | 00:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
映画「クィーン」見てきました。
本日、またも遠くの映画館にて「クィーン」を見てきました。
代休のおかげで普段行かないところまで遠征(?)できたものの、なぜ話題作なのにどこの劇場でも上映しているとはいかないのでしょうか。

それはともかく、たしかに遠征する価値ありの作品でした。
1997年8月末、ダイアナ妃の事故死が伝えられたときから1週間の、エリザベス女王とブレア首相を描くこの映画、淡々としていながら最後まで見逃せない場面の連続です。

アカデミー主演女優賞だからと言うわけではないですが、女王を演じるヘレン・ミレンの風格ある演技には、本当に圧倒されます。
(なんと英国のテレビシリーズで、近世のエリザベス1世も演じたそうで、こちらも見てみたいです)
ヘレン・ミレン自身が「単なるものまねではなく、女王の心の内面を演じ」と、インタビューで語っていたように、孤高の君主といった趣きが自然に感じられます。

しかしやや驚いたのはトニー・ブレア首相の扱いで、演じるマイケル・シーンの芝居もよかったですが、脚本も彼に好意的というか、故人となったダイアナに冷淡な態度だと民衆から責められる王室と女王に適切な助言をし、批判がましいことを言う奥さんや労働党の側近らにキッパリと女王の弁護をする様子などは意外でした。

さらに圧倒されたといえば、王室の別荘であるバルモラル城とその領地。
女王の夫のフィリップ殿下たちが鹿狩りに出かけたり、女王自身もランドローバーを自ら運転して山谷を走るのですが、その広大な風景といい壮観なカメラアングルといい、やはり王族の暮らしは一般市民のそれとまったく別物だと思い知らされます。

国民から高まる一方のダイアナ追悼の声に、ついに慣例を破って半旗をかかげざるをえなくなるくだりや、ブレアの助言もあっての女王からの追悼声明、そして領地から戻ったロンドンでバッキンガム宮殿の門前の市民の列に入り、花束の山をその目で見て……というクライマックスまで、派手なアクションや驚きのミステリーがある映画ではないけれど、静かな画面なのにくぎづけになりました。

現代史どころかつい先日の出来ごとのような事件と、まさに現役といえる人物たちを決して軽薄ではないながらかくもシビアにスクリーンに描くのには本当に驚きます。
よく歴史ものや戦争映画では当時の記録フィルムが流用されますが、この作品ではまさにあの1週間のニュース映像を大胆に巧妙に挿入して、俳優たちの演じるシーンとうまく整合性をたもっています。

揺れ動くチャールズ皇太子や逆にまったく動じない皇太后、女王を案じて苦悩する侍従やブレアに辛辣なまでのアドバイスを続けるブレーンのキャンベルなど、どれも目の前にいま現在きざまれている歴史を目撃させられるような迫力ある一篇でした。
posted by: ふるゆき | テレビ・映画感想 | 21:31 | comments(4) | trackbacks(4) |
「風林火山」と「柳生十兵衛」
昨夜の大河ドラマ「風林火山」では、ついに諏訪氏の領地を攻略した武田家が当主を自決に追い込み、残存勢力も勘助と板垣の手勢で一掃する展開になっていましたが、由布姫の命を奪うはずが、けっこうあっさりと幽閉に切り替えてしまい、今後の騒動の火種(?)になるかも…という予兆を感じました。

いよいよこの後、武田軍による信濃侵攻が本格化して各地の豪族を駆逐し、座視してはいられなくなった越後の雄・上杉景虎とのあいだに川中島合戦の機運が……。
というところが早くみたいですが、現在は5回説が有力なこの合戦、第1回として伝えられるのは1553年(天文22年)です。

話がとびますが、今月から始まった木曜時代劇「柳生十兵衛 最後の戦い」は、クライマックスが江戸初期の大事件といわれる慶安の変になる模様。
これは徳川三代将軍家光の死後すぐで、1651年のこと。つまり両者にざっと百年の時の流れがあるわけです。
この間の歴史は、大河ドラマや大型時代劇でもっともとりあげられる戦国末期から安土桃山時代で、そのほぼ真ん中に、しかも世紀の分かれ目1600年にくるのが天下分け目の「関ヶ原」。

「風林火山」はもちろん軍師・山本勘助が主人公だし、「柳生十兵衛」は主人公の最大の敵役が軍学者の由比正雪。どちらもけっこう胡散臭かったりしますが、これまた両者のほぼ中間の時代に勘助の活躍と武田軍の戦歴を面白く脚色しつつ史実らしく書いた構成の軍学書こそ、江戸期甲州流軍学のテキストとなった「甲陽軍鑑」でした。

その著者は武田二十四将のひとり小幡山城守の一族で小幡勘兵衛といいます。
この人物、実在ながら経歴に不明の点も多く、そのせいかどうか司馬遼太郎氏の「城塞」で、もと徳川の家臣という履歴を隠して大坂城に潜入し、諜報活動をしながら狂言回しとして活躍する面白いキャラクターに仕立てられていて、やっぱりこの時代の軍学稼業は怪しくて面白いと感じてしまいます。

ともあれどちらのドラマも、これからのヤマ場に期待したいですね。
posted by: ふるゆき | 風林火山 | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
1/72 M24 チャーフィー戦車
映画「パットン大戦車軍団」は、昨夜のブログ記事でもかいたとおりスペインで撮影がおこなわれたので、大挙登場する戦車はスペイン陸軍の協力車両です。

これも先にかいたとおりスペインは大戦中やや枢軸よりの中立国だったため、ドイツ式の兵器が戦後も(長く現役として)残っており、映画のなかでパットンとその軍団を地上射撃で悩ませたドイツ軍のハインケル爆撃機は、本当は同型機をスペインでライセンス生産したカーサ爆撃機でした。

しかし戦後のスペインは、西側自由陣営としだいに協調路線をとるようになり、フランコ総統の没後はファシズム体制も議会制民主主義に改まって軍の装備もアメリカ式となりました。したがって映画「パットン…」では、このM24軽戦車をはじめ、M41ウォーカーブルドッグ戦車(パットンのもとで機甲師団を指揮したウォーカー将軍からとった名。あだ名がブルドッグでした)が米軍戦車役、M47やM48「パットン」戦車が皮肉にもドイツ戦車役(なにしろ大型なので仕方なくタイガー戦車役にしたのでしょう。なお、一部米軍役も兼任しています)をつとめていました。

M24は第1次大戦のアメリカ将官から名をとられた戦車ですが、第2次大戦末期の開発で「軽」戦車ながら75ミリという当時としては主力なみの火砲を搭載し、サスペンション装置なども20年は進歩していたという傑作車両。映画のなかでも軽快に走っており、モントゴメリー元帥の登場シーンではサンドカラーの迷彩に塗られ英軍戦車の役もこなしていました。

この模型はドイツレベル社の製品でスケールは小さいですが、よく本車両のフォルムをとらえており、キャタピラや装備アクセサリーも良い感じのできです。
他にも「レマゲン鉄橋」や「バルジ大作戦」、「ナバロンの要塞」などでも重要な登場メカとなっているこの名車両をプラモデルで製作すると、またDVDを見る楽しみがますかもしれません。
posted by: ふるゆき | 模型&ホビー | 22:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
パットン大戦車軍団 <特別編>
評価:
ジョージ・C・スコット,フランクリン・J・シャフナー,カール・マルデン,マイケル・ストロング,カール・ミカエル・フォーグラー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥ 2,121
(2006-08-18)
「補給戦」の最終章は、第2次大戦で連合軍がノルマンディ上陸とそれに続くフランスからドイツ国境に至る進撃作戦について考察したものでした。
その章のキーマンというべき人物が、この映画の主人公でアメリカ陸軍きっての猛将、ジョージ・S・パットン将軍です。

名門の生まれながら粗野で傲慢、一方で信仰心と歴史への情熱を持ち、自分を古代ローマやカルタゴ、ナポレオン時代の戦士の生まれ変わりと信じる天性の軍人。
彼の戦歴とその性格ゆえに巻き起こす波乱を、第2次大戦後半のアフリカ戦線・シシリー作戦・ノルマンディからバルジの戦いまでを通して描く大スケールの作品です。

主演のジョージ・C・スコットは見事なまでにパットンになりきった熱演で、この年のアカデミー主演男優賞をとったにもかかわらず「そのような賞レースは堕落だ」と、拒否したのは有名な話。映画のなかで同僚のパットンをフォローする役のブラッドレー将軍を演じたカール・マルデンが仕方なく代わりに受け取ったそうです。

この映画は、ほとんどスペインでロケされました。それには、
・膨大なエキストラ動員の人件費が比較的安くすむ。
・スペインは大戦中は中立ながら枢軸側友好国でもあったので、輸入したドイツ式の
 車両や兵器が70年代でも残っていた。
・北東のフランス国境ではベルギーの森林シーンが、南部の砂漠地域では北アフリカの
 シーンが撮影でき、イタリア的な風景もあって便利だった。
といった利点があったためということです。

連合軍内部に不和をもたらすパットンの傍若無人ぶりもさることながら、彼とライバル関係にあり互いに譲らぬ頑固な英国陸軍のモントゴメリー元帥や、総司令官アイゼンハワーの懐刀的参謀のベデル・スミス将軍との確執も見どころだし、パットンの動静に注目するドイツ軍の名将ロンメル元帥(演じるカール・ミハエル・フォーグラーは、他の戦争映画でも印象的な脇役です)やヨードル将軍、その分析からパットンに妙な理解を示すシュタイガー大尉なども面白い配役です。

戦争をするために生まれてきたと広言してはばからぬ特異な人物と、戦乱のなかにこの好戦的人物さえ翻弄されるさまは、歴史にいくたびも刻まれた戦火のなかの人間像を、スクリーンにさまざまな事象をちりばめつつ見せてくれます。
posted by: ふるゆき | DVD | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
補給戦―何が勝敗を決定するのか
評価:
マーチン・ファン クレフェルト
中央公論新社
¥ 1,500
(2006-05)
この本の初版は英国で1977年に出されており、日本で訳されたのも1980年というから、昨年文庫化されるまでずいぶん時間が経ったものです。

しかし本書は、ややもすると見過ごされそうな戦史における補給面に緻密な考察と鋭い分析で迫る、軍事ものだけでなく政治や経済に関心がある方にとっての必読書というべき存在。「素人は戦術(のみ)を語り、玄人は補給を語る」との言葉はまさに至言かも。
当たり前のことを言いますが、10万人の将兵がいたらもし一日2食にしても20万食を用意しなければならないし、それが作戦行動中は毎日(!)続くのです。
もちろん武器弾薬や衣服、馬の時代ならまぐさ、近代戦なら燃料の準備と輸送も膨大な規模となり…。

主題をきわめるため近世以来の西欧の戦史を網羅していますが、絶対王政下の制限戦争における野戦軍隊への食料供給は、川のある地域で行動できるかが大きなポイントだった事実の指摘から始まり、ヴァレンシュタインやマールバラー公爵からナポレオンの三帝会戦の勝利とロシア遠征の敗退を、決して単純に「準備不足」や「冬将軍」のせいだけではなかった事実を解き明かしていきます。

戦闘そのものは天才モルトケの名指揮と鉄道運用によるプロイセンの大勝利だった普仏戦争さえ、補給は深刻な滞貨が起こっていてほとんど破綻していた意外な史実も指摘され、これとは対照的に帝政ドイツが敗れた第1次世界大戦のそれは、批判されるほど杜撰な計画だったのではなく装備の近代化に鉄道が追いつかず、駅の物資積み下ろし能力が決定的に不足だった話など耳に新鮮な解説もあり。

クライマックスというべき第2次大戦では、ヒトラーのソ連侵攻がドイツ軍の機械化不足と鉄道の破綻が、冬将軍やロシアの悪路よりひびいたことや、ロンメルとその軍団を苦しめたのはよく言われるイタリア側の怠慢やマルタ島の存在より、北アフリカの膨大な補給距離(輸送だけでガソリンが無くなる)と、ベンガジ港の荷揚げ能力などが限界で、せっかく落としたトブルクも数字のうえでは救いにならなかった事実など、興味は尽きません。

読み終えて、巨大な軍事補給がいかに大変か、毎日多くの将兵を食わせていくのがどれほど困難か思い知らされますが、同時に今日も夕食がいただけるシアワセまで実感(?)してしまいます。
posted by: ふるゆき | | 19:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
ケーキの世界
評価:
村山 なおこ
集英社
¥ 756
(2001-09)
この本はかみさんが買ったものですが、少し読ませてもらったら最後まで読了。
結果「これは良いものであります」ということで、ここに…。

著者はテレビの「甘味王選手権」にも出場したお菓子が大好きなフリーライターの女性ですが、たしかに全編からお菓子に対するなみなみならぬ愛情が感じられます。
とにかく一番ツボだったのが、「第2章 日本の洋菓子のルーツ」。
日本の洋菓子の歴史は、南蛮貿易と明治維新と第2次大戦後という三つのエポックメーキングの時期に大きく進展していることは、知識では知っていても本書の幅広く適切な事例でよりよく理解できます。

金平糖がポルトガルのコンフェイトウから来ているのは戦国ものの資料などで聞いてましたが、同じく有平糖がアルフェイロというねじり菓子から来たものとか、開国後の横浜と神戸から始まった洋菓子文化が、銀座のカフェ文化に花開き、戦後の再開からパティシェの活躍までと、実に幅広い解説。

現在の様相もティラミスを筆頭のバブル期(ここのブームをお菓子の視点に限って冷静に検証していて、変に後知恵のバブル批判とかしないのも好感)から、「甘味のテーマパーク」いわゆる「デパ地下」に、ヘルシーブームなどなど、現代文化史の一面もあわせ持っての楽しいレポート。

ネット情報から街歩きのデータ収集で、お店を詳しくかつ愛情と独特の視点を持って観察するのには、著者らしいこだわりを感じます。
美味しいお店発見のコツから、素材の見かた、各国洋菓子の基本解説まで、一気に読めてこちらも嬉しくなる、いや食べたくなる一冊です。

それにしても今週は当ブログの記事がビールから始まって本日はデザートになったものの、メインディッシュというかディナーが、昨夜のレーションこと「軍用携帯食料」だったのは、我ながら何というか……(笑)。
posted by: ふるゆき | | 23:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
世界のミリメシを実食する―兵士の給食・レーション
昨日のブログではビールで一杯…という本だったので、今夜のディナーは「兵士の食事」!?

「腹が減ってはいくさができぬ」は、古今東西変わらぬ真理。
この本は現在世界各国の軍がその将兵に供給している食事内容を、「レーション」と呼ばれる携帯食料を中心に追っています。缶詰・インスタント・レトルト各食品は、そんな軍の携帯野戦食料を便利にすべく、時代を追って発明されたもの。

アメリカ軍については南北戦争ころからの歴史にもふれてあり、種類や内容の豊富なことトップクラスなのは、本書の写真やイラストで理解できます。面白いのはイギリス軍がやはり味も包装も単調だったり、フランス軍はさすが内容も風味もこだわりありで好対照。イタリア軍はパスタが缶詰にも入っているし、スイス軍はチョコやスプレッド、ドライフルーツも民間食からの転用なため異様にカラフルな包装ばかり(戦場で目立ちすぎ?)

日本も陸上自衛隊を缶詰やレトルトの携帯食から、野外演習用の炊事班、駐屯地の食堂まで詳しくレポート。大きな野外炊具で作られた肉野菜炒めやカレーを見ていると、こういうのも食べたくなってくるかも。

以外に美味しそうだったのは、ロシア宇宙軍(べつにスターウォーズばりのSF戦をする宇宙艦隊とかでなく、ロケット基地の技術要員や警備隊らしいです)の糧食。
ニンニク入りスプレッドとか牛肉缶詰、インスタントはコーヒーでなく紅茶なのもこの国の伝統ということでしょうか。
何といっても食事は万民の楽しみ。ここにもいろいろなお国事情があるものです。
posted by: ふるゆき | | 23:33 | comments(0) | trackbacks(1) |